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薬の錠剤をなんとか飲ませようと、試行錯誤。
猫のほうは口にいれた薬を、上手に吐き出す。
毎日のことだと、これがかなりこたえます。
我が家のちーちゃん(推定14歳以上のシニア猫)は、腎臓病を抱えていました。元気がないことを獣医師に相談して処方されたのが、副腎皮質ホルモン薬。病院で半分に割ってもらった錠剤を、毎日、2年ほど飲ませ続けました。
同時にこの頃のちーちゃんは、ごはんをあまり食べてくれなくなっていました。
食べない。でも、薬は毎日飲ませなければいけない。
この2つを同時に抱えていた時期に、おやつの役割が変わりました。「ごほうび」ではなく、手段になったんです。
この記事では、投薬のために試して失敗したもの、最終的に2年続けられた方法、そして食が細くなってからのおやつの使い方を、正直に書きます。
先に結論:うちで通ったのは3つの条件でした
長くなるので、先にまとめます。ちーちゃんが最後まで食べてくれたおやつには、共通点が3つありました。
- やわらかいこと ― 外側が硬いものは、中身が何であれ食べられませんでした
- 1回の量が少ないこと ― 食べきれる量でないと、途中でやめてしまいます
- できれば総合栄養食であること ― 食が細くなるほど、1口の重みが変わります
そして投薬については、商品よりも渡し方が決め手でした。
スティックタイプの先に小さく切れ目を入れて、口の中に直接入れる
皿に出した時点で、猫は薬だけよけてしまいます。ここが2年かけて分かったことでした。
以下、ひとつずつ書いていきます。
中身がどんなに良くても、外側が硬ければそこで終わりでした
まず試したのは、投薬のために作られた専用のおやつです。
- グリニーズ ピルポケット(猫用)
- メディボール
- 動物病院でもらった試供品(商品名は覚えていません)
どれも、錠剤を中に入れられる穴が開いていて、包んで与えれば飲んでくれる、という仕組みです。評判もよく、期待して買いました。
結果は、全滅でした。
理由は「大きすぎた」こと
ちーちゃんは、うちに来た時点で大きい歯が1本しかありませんでした。
ピルポケットもメディボールも、ボール状の固形物です。猫が噛んで、飲み込むことを前提に作られています。
歯がない猫には、そもそも噛めない。口に入れても、そのまま出してしまう。
味が好みじゃなかったのではなく、物理的に食べられなかったんです。
同じことが、普通のおやつでも起きました
後から試した「いなば ちゅるビ〜」も、同じ結果でした。
この商品は「中にトロッとお魚入り」が売りです。中身は、ちーちゃんが好きなとろみ。それでも食べませんでした。
外側で止まってしまうので、中まで届かないんです。
ピルポケット、メディボール、ちゅるビ〜。3つとも理由は同じでした。
これは商品が悪いわけではありません。歯がしっかりしている猫なら、よく機能すると思います。実際、評判は高いです。
ただ、歯が少ない猫・シニア猫・口内炎がある猫には、設計が合いません。「中身がおいしそうだから」で選ぶと、うちのように外側で弾かれます。
ここは、買う前に知っておいたほうがいい点だと思います。
フードに混ぜる方法も、ダメでした
次に試したのが、ドライフードやウェットフードに混ぜる方法です。
これも失敗しました。
薬だけ、きれいに避けて食べるんです。
猫を飼っている方なら、想像がつくと思います。皿の上に出した瞬間、猫は選べてしまう。フードは全部食べて、薬だけ皿に残っている。あの光景を何度も見ました。
スプーンタイプでも、同じでした
「銀のスプーン にゃんspoon」という、スプーン型のペーストおやつがあります。こぼれにくく、猫が食べやすい形です。ちーちゃんもこれは好きで、よく食べていました。
ところが、ここに薬を混ぜてもやはり避けられました。
考えてみれば当然で、スプーンは小さいお皿と同じなんですね。形が変わっても、猫からすれば「選べる状態」であることに変わりはない。
だから、投薬期にはにゃんspoonを買わなくなりました。
たどり着いたのは、商品ではなく「渡し方」でした
ここで、少し時間をさかのぼります。
とろリッチは、最初から家にありました
ちーちゃんを迎えたばかりの頃、まず買ったのはちゅ〜るでした。猫といえばちゃおちゅ〜る、というイメージがあったからです。あの頃の記録は別の記事に書いています。

ちゅ〜るを差し出すと、ケージの中から見つめるちーちゃん
そこから夫が、かわいさ余っていろいろなフードを買ってくるようになりました。その流れで、ちゅ〜るの次に買ったのが「とろリッチ」です。
これが、よく食べてくれました。
理由のひとつは、量だったと思います。ちゅ〜るは1本14g。ちーちゃんには少し多かったんです。とろリッチは6gで食べきりサイズ。ちょうどよかった。
そのうちちゅ〜るを食べなくなり、とろリッチがうちの定番になりました。
つまり、投薬に困ってから探し当てた商品ではありません。元気な頃からの定番が、数年後に薬を飲ませる唯一の方法になった、という順番です。
試行錯誤したのは、使い方のほうでした
定番のとろリッチに薬を混ぜる。ここまでは自然な発想でした。でも、皿に出せば避けられるのは同じです。
最終的に落ち着いたのが、このやり方でした。
スティックの先に小さく切れ目を入れて、口の中に薬ごと直接入れる
普通に開けると口が広すぎて押し出しにくいので、小さめに切れ目を入れるのがコツでした。
皿に出さない。猫に選ぶ機会を与えない。これで、2年間、毎日飲ませ続けることができました。
うまくいった理由は、4つあったと思います
① 噛まなくていい
とろみのあるウェットタイプなので、舐めるだけで食べられます。歯が1本でも問題ありませんでした。
② 口の中に直接入れられる
皿にもスプーンにも出さないので、選り分けようがありません。
③ そもそも大好きだった
投薬用に作られたおやつは「薬を飲ませるため」に設計されています。でも猫にとっては、好きかどうかがすべてです。
④ 6gで、確実に食べきれた
ここが地味に大きかったと思っています。
薬を混ぜたものを途中で残されたら、その日の分は中途半端にしか入りません。14gだと、食が細くなった猫は残すかもしれない。6gなら、最後まで舐めきれる。
毎日2年続けられたのは、好きだっただけではなく、確実に全部入る量だったからです。狙ってそうしたわけではなく、元気な頃に「量がちょうどいい」という理由で選んだものが、結果的にそうなっていました。
必ず、獣医師に確認してください
ひとつ大事なことがあります。
薬をおやつに混ぜていいかどうかは、薬の種類によって変わります。
砕いてはいけない薬、食べ物と一緒だと吸収が落ちる薬があります。自己判断で混ぜると、薬が効かなくなることがあります。
ちーちゃんの場合は獣医師の処方のもとで、錠剤も病院で半分にしてもらっていました。
また、口の中に入れるときは、勢いよく押し込まないでください。むせたり、誤嚥したりする危険があります。少しずつ、様子を見ながら。心配なら、一度かかりつけの先生にやり方を見てもらうと安心です。
ここに書いているのは、あくまでうちの記録です。どんな薬が必要かは猫の状態によって違いますし、それを決めるのは獣医師です。
食欲が落ちてからは、「かける」に変わりました
薬とは別に、ごはんを食べてもらうための使い方もありました。
おやつをそのまま与えるのではなく、フードにかける方法です。
無一物 まぐろけずりぶし ― 香りで誘う
いちばん効いたのが、はごろもの「無一物 まぐろけずりぶし」でした。おやつというより、トッピングです。
これをフードにかけると、よく食べてくれました。
香りが良いんです。腎臓病で食欲が落ちていたちーちゃんにも、そこは届いていたのだと思います。
ちなみに、人間も味見してみました。無一物は原材料がまぐろだけの商品です。普通に食べられました。おいしかったです。
乳酸菌ちゅ〜る ― 食べなくなったものが、復活した
もうひとつ面白かったのが、ちゅ〜るです。
普通のちゅ〜るは、そのまま出しても食べなくなっていました。ところが、乳酸菌入りのものをフードに混ぜると、食べてくれたんです。お腹の調子も良さそうでした。
商品が違ったからなのか、与え方を変えたからなのか、どちらが効いたのかは分かりません。両方いっぺんに変えてしまったので。
ただ、ひとつ言えることがあります。
「食べなくなった」と思っても、形を変えるとまだ使えることがある。
おやつに飽きられると、たいていその商品は棚にしまったままになります。でも、主役をおやつからフードに変えると、同じものがもう一度使えることがありました。
選ぶ基準が、途中で変わりました
9種類ほど試して気づいたのは、途中で自分の選び方が変わっていたということです。
| 元気だった頃 | 食が細くなってから | |
|---|---|---|
| 選ぶ基準 | 喜ぶかどうか | 食べきれるか/栄養があるか/薬が入るか |
元気な頃は、焼かつおのような固形のおやつも食べていました(これも人間が味見して、おいしかったです)。カップ入りの贅沢ぽんちゅ〜るもあげていました。
でも、食が細くなってから、贅沢ぽんちゅ〜るは買わなくなりました。理由ははっきりしています。
総合栄養食をあげたかったからです。
食べる量が減るほど、1口に入っている栄養の重みが変わります。「おいしいおやつ」より「栄養のあるおやつ」を選ぶようになりました。
おやつを選ぶとき、「おいしそうか」で選んでいませんか。食が細くなった猫には、「1口に栄養が入っているか」のほうが大事になってきます。
試した9種類
◎ よく食べた・最後まで使ったもの
① 銀のスプーン にっぽんSelect とろリッチ(総合栄養食)
うちの定番で、投薬にも使っていたものです。
とろみのあるウェットタイプ。6gで食べきりサイズ。そして総合栄養食です。
おやつの多くは「一般食」や「副食」で、それだけでは栄養が足りません。でもこれは総合栄養食なので、ごはんが食べられない日に、これだけでもある程度の栄養になります。食べない猫を抱えている飼い主にとって、この違いはかなり大きいです。
※当時買っていたのは「3種のお魚味アソート」です。1袋だけのタイプ(鶏ささみ入り)もあります。
② はごろも 無一物 まぐろけずりぶし
フードにかけると、よく食べてくれました。 香りが良く、食欲が落ちていた時期にも届きました。
原材料がまぐろだけなので、人間が味見しても普通に食べられます。
※削り節は開封すると香りが飛びます。香りが決め手の商品なので、1g×10袋の小分けタイプなら毎回削りたての香りが出せます(こちらのほうが安く、在庫も安定しています)。
○ 食べたもの
③ チャオ ちゅ〜る 乳酸菌入り バラエティ
そのまま出すと食べなくなっていましたが、ドライフードにかけると食べました。お腹の調子も良さそうでした。
※当時使っていたのは「すごい乳酸菌ちゅ〜る」ですが、現在Amazonでは入手しづらくなっています。リンクは現行の乳酸菌入りちゅ〜るです(乳酸菌の配合量は異なります)。
④ 銀のスプーン にゃんspoon(副食)
こぼれにくいスプーンタイプ。好きでよく食べていました。
ただし投薬には使えませんでした(スプーンの上で薬だけ避けられます)。また、とろリッチと似て見えますが、こちらは副食で、1本10gです。同じメーカーの似た商品でも、栄養の扱いと量は違います。
現在は「腎臓の健康維持用」のタイプもあります。
⑤ いなば 贅沢ぽんちゅ〜る
カップ入りのソフトゼリータイプ。食べていましたが、食が細くなってから買わなくなりました。総合栄養食を優先したかったからです。
⑥ チャオ 焼かつお 高齢猫用
元気な頃は食いつきが良かったです。固形のスティックなので、噛める時期のおやつでした。
人間がおつまみで食べられそうな香りがします(少し食べました。おいしかったです)。
✕ 食べなかったもの
⑦ シーバ とろ〜り メルティ
あまり食べてくれませんでした。 とろみ系なのに食べなかったのは、9種類の中でこれだけです。レビュー評価は非常に高い商品なので、評価が高くてもうちの子に合うとは限らない、という例になりました。
⑧ いなば ちゅるビ〜
食べませんでした。外側が固形だったからだと思います。
「中にトロッとお魚入り」が売りの商品ですが、その中身まで届きませんでした。
⑨ 投薬用おやつ(グリニーズ ピルポケット/メディボール)
どちらもダメでした。 ボールが大きすぎて、歯が1本のちーちゃんには食べられませんでした。
(うちでは合わなかったので、リンクは貼りません。歯がしっかりしている猫には有効な商品だと思うので、最初に試してみる価値はあります)
比較早見表
| 商品 | 形状 | 1回の量 | 分類 | 反応 |
|---|---|---|---|---|
| とろリッチ | とろみ | 6g | 総合栄養食 | ◎ 投薬に2年 |
| 無一物 けずりぶし | 削り節 | ふりかけ | トッピング | ◎ 香りで食べた |
| 乳酸菌ちゅ〜る | 液体 | 14g | おやつ | ○ 混ぜれば食べた |
| にゃんspoon | ペースト | 10g | 副食 | ○ 投薬には不可 |
| 贅沢ぽんちゅ〜る | ソフトゼリー | 35g | おやつ | ○ のち中止 |
| 焼かつお 高齢猫用 | 固形 | 1本 | おやつ | ○ 元気な頃のみ |
| シーバ メルティ | とろみ | 12g | おやつ | ✕ |
| ちゅるビ〜 | 固形(中はとろみ) | 10g | おやつ | ✕ 外側が硬い |
| ピルポケット/メディボール | 固形ボール | 1個 | 投薬補助 | ✕ 噛めない |
固形のものは、全部ダメでした。
おやつを選ぶときに知っておきたい3つのこと
① 形状 ― その子は「噛めるか」
これが、失敗から学んだいちばん大きいことです。
- ボール状・粒状・外側が固形 … 噛める猫向け。歯が少ない猫には届きません
- とろみ・ペースト・スープ … 舐めるだけで食べられる
- 削り節 … やわらかく、香りが立つ
シニア猫は歯が弱っていることが多いです。おやつを選ぶときは、味よりも先に「この形、うちの子は食べられるか」を見てください。
② 1回の量
食が細くなると、「全部食べきれるか」が重要になります。
残されると、栄養も薬も中途半端にしか入りません。1本6gと14gでは、同じ商品でも意味が変わります。パッケージの「1本◯g」は、意外と見落としがちです。
③ 「総合栄養食」か「一般食・副食」か
パッケージの裏に必ず書いてあります。
- 総合栄養食:それと水だけで栄養が足ります
- 一般食・副食・おやつ:栄養は足りません。あくまで補助
ごはんを食べてくれない猫の場合、総合栄養食のおやつを選べると、気持ちがかなり楽になります。「今日はおやつしか食べなかった」という日でも、最低限は入っているからです。
同じメーカーの似た見た目の商品でも、とろリッチは総合栄養食、にゃんspoonは副食でした。見た目では分かりません。
まとめ
ごはんを食べない猫に、毎日薬を飲ませる。2年やって分かったことを、最後にまとめます。
- 投薬用に作られたおやつが、すべての猫に合うわけではありません。ボール状のものは、噛めない猫には物理的に届きません
- 中身がどんなに良くても、外側が硬ければそこで終わりです
- フードや皿、スプーンに出すと、薬だけ避けられます。猫は選べてしまいます
- うちで続いたのは、スティックの先に切れ目を入れて、口の中に直接入れる方法でした
- 決め手は「投薬用かどうか」ではなく、その子が本当に好きで、1回で食べきれる量かどうかでした
- おやつは食欲の呼び水に「少し」なります。劇的ではありませんが、ゼロが少しになるだけでも違います
- 食が細くなるほど、総合栄養食を選ぶ意味が大きくなります
- 薬を混ぜていいかは薬によります。必ず獣医師に確認を
ふり返ると、おやつはあまり種類を買いませんでした。決まった液体系のものばかりになっていました。
ウェットフード編では14種類も試して、最後まで法則が見つからず、途中で法則化を諦めています。同じ猫の同じ時期なのに、おやつのほうは早く答えが出ました。
「外側が硬いものは無理」という足切りの基準が、はっきりしていたからだと思います。候補が一気に絞れて、残った中から合うものが見つかったら、もう探す必要がなくなりました。
うちでうまくいった方法が、そのまま他の猫に当てはまるとは限りません。ちーちゃんは歯が1本しかなかったので、選べる範囲がもともと狭かった、という事情もあります。
ただ、「投薬用おやつを買ったのに食べてくれない」と困っている方には、別の道があるということだけは、お伝えしたいと思いました。
薬の時間が、少しでも穏やかになりますように。
